診療だより

       − 低身長について −

瀧田医院分院  平成16年 8月発信



今回は、子供の低身長について、皆さんにお知らせしたいと思います。
当院小児科医瀧田先生は、御心配してみえるお母様の御相談を受け治療も致しております。
御遠慮なく御相談ください。

1.低身長とは?

同性同年齢の子どもの平均身長と比べて、身長が低い、あるいは成長の速度が遅い場合をいい、少し身長が低いというだけでは低身長とはいいません。子どもの成長の仕方には個人差がありますが、それは両親の体格や子ども自信の体質、栄養、生活環境、運動などさまざまな要因の影響を受けるためなどがあげられます。低身長のおおまかな目安の表を以下に示します。同性同年齢の子供と比べて「−2SD以下」の場合を低身長といいます。詳しいグラフは、こちらをクリックしてご参照ください。

▼低身長の目安となる各年齢ごとの身長(マイナス2.0SD)は以下のとおりです。
年齢 3歳 3歳半 4歳 4歳半 5歳 5歳半 6歳 6歳半
男児(cm) 86.0 89.2 92.2 95.2 97.8 100.6 103.7 106.7
女児(cm) 84.3 87.9 91.0 94.5 97.8 100.5 103.5 106.0

年齢 7歳 7歳半 8歳 8歳半 9歳 9歳半 10歳 10歳半
男児(cm 109.4 112.3 114.7 117.1 119.7 122.2 124.6 126.9
女児(cm) 108.8 111.5 113.8 116.3 118.7 121.1 123.9 126.7

2.主な原因

成長障害は、以下のような原因で起こります。
原因によっては、治療できるものと、治療が難しいものがありますが、その原因を検査することで重要な病気がみつかることもありますので、早めに検査をすることが大切といえます。
  病気とは考えにくいもの
    (体質性、家族性、未熟児で生まれて、その後も伸びが遅いなど)
  子どもの成長を調節するホルモンの異常
    (成長ホルモンの不足、甲上腺ホルモンの不足)
  染色体の異常  (ターナー症候群など)
  骨や軟骨の異常  (軟骨異栄養症など)
  主要臓器の病気  (心臓、腎臓、肝臓、消化管など)
  心理社会的な要因  (愛情遮断症候群など)
  栄養状態が悪い
3.検査について

当院で行なう検査は、”成長ホルモン分泌刺激試験”という血液検査です。
成長ホルモンの分泌を刺激する薬を入れて、成長ホルモンを出す予備能力がどれだけあるかを調べます。
2時間かけて、30分毎に採血をします。

4.治療  

子供の成長に欠かせないホルモンは、成長ホルモン・甲状腺ホルモン・性ホルモンがあります。この中で成長ホルモンによる治療について説明します。
”低身長”のうち、脳下垂体から分泌される成長ホルモンが不足して起こるものを”成長ホルモン分泌不全性低身長症”といいます。原因不明のものがほとんどです。このようなお子さんでは、不足している成長ホルモンを補ってあげることにより、身長を伸ばすことができます。
成長ホルモンの投与方法ですが、口から飲むと消化管の中で分解されてしまう為、今のところ注射する方法しかありません。
又、目標とする身長に近づくまで、ほぼ毎日何年にもわたって根気よく注射を続けることが必要です。使い方は簡単で、安全・正確にできるようになっていて、自宅で安心して注射することができます。

5.その他 

(1) 成長ホルモンによる治療は、できるだけ早く開始した方が大きな治療効果が期待できます。
思春期を過ぎて骨が固まってからでは、効果は期待できません。
(2) 治療中も学校やスポーツはいつもどおり行なうことができ、日常生活に特別な制限はありません。
(3) 検査の為の入院は必要ありません。外来にて行ないます。


お知らせ

9月1日より、瀧田医院本院はリハビリ科を標榜し、リハビリ館で
理学療法U
がスタートします。タキタシニアプラザで同時にスタートする
通所リハビリ(デイケア)と連携し、医療と介護のリハビリの密な連携を
図りたいと考えています 。