診療だより

   夏号  「 小児の夏風邪 」

瀧田医院分院  平成15年8月発信


ながかった梅雨が明け、暑い夏が到来しました。今回は小児の夏風邪についてお話したいと思います。風邪というと冬のインフルエンザが代表的ですが、夏風邪は、冬とちがったウイルスが原因で発病します。全国的に流行している夏風邪に、手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱(咽頭結膜炎)などがあります。当院でも診断のついた方が多く治療中のお子様もみえます。以下、病気別に症状などを記します。

  手足口病

原因 : エンテロウイルスか、コクサッキーウイルスなどの夏風邪ウイルスによっておこります。原因ウイルスは一種類ではないので、何回もかかることがあります。
症状 : 熱はでても37〜38℃。手のひらや足の裏に赤いポツポツ(発疹)ができ口の中には口内炎ができます。
経過 : 熱は、1〜3日でさがり、発疹も1週間もたてば自然に消えます。
注意すること : 発疹はかゆみはありませんが、口内炎ができると痛いので食べたり飲んだりすると嫌がることがあります。口当たりの良いものを食べるようにしてください。

  ヘルパンギーナ

原因 : コクサッキーウィルスによっておこります。
症状 : 突然39℃台の熱がでます。同時にのどの奥に小さな水泡ができます。
経過 : 2〜3日たつと水泡のある場所は潰瘍(口内の粘膜がえじれた状態)になります。この潰瘍の痛みは大変強くつばも飲み込めないほどで、よだれが多くなりがちです。
熱は2〜3日でさがりますが、水泡が治るまでは1週間ほどかかります。
注意すること : 口の中の痛みのため、ぐずったり食べることを嫌がる場合がほとんどです。手足口病同様、食事を工夫しましょう。

  プール熱(咽頭結膜炎)

原因 : 学校などのプールで集団的に感染することが多いため、この病名がつけられています。アデノウイルスが混じった水を飲んだり、水しぶきを吸い込んだりして感染します。
症状 : 39℃台の熱と共にのどが腫れて痛み、せきがでます。白目やまぶたの裏が赤くなり、目やにがふえてきます。
経過 : 高熱は2〜3日をピークに下がります。
注意すること : 熱が高いときはその手当てを行います。熱いもの固いものは食べにくいのでゼリー状のものや、やわらかいものを食べるようにしてください。目やには、ぬるま湯でしぼった脱脂綿かガーゼでやさしく拭きとってください。

 ◆ 予防 ◆
(1)手洗い、うがいを行う。
(2)プールに入る前後はお湯や水で体を洗う。
(3)タオルは共有しない。
(4)体力がおちないよう生活のリズムを整える。

 ◆ まとめ ◆
手足口病やヘルパンギーナでは、なかなか食事や水分がとれず脱水をおこしたり、衰弱してしまうこともあります。夏風邪によりまれにウイルスが中枢神経系を侵し、髄膜炎や脳炎などをおこすこともあります。全身の状態の変化に十分注意し、頭痛や嘔吐、けいれんなどの症状がおきたら早目に診察を受けてください。