診療だより

    春

瀧田医院分院  平成15年4月発信


 インフルエンザのシーズンも終わり、ほっと一息です。
 インフルエンザについては、今シーズンもマスコミの情報を通じて、患者さんやその保護者が踊らされた印象があります。
 インフルエンザは、確かに一般のかぜよりも全身症状が激しく、伝染力も強く、ときには肺炎や脳症の合併もあります。そのようなこともあって、最近、迅速な検査法や、いわゆる特効薬(インフルエンザウイルスを直接叩く薬)の開発に力が注がれて、既に使用されています。尚、ワクチンは昨年度の冬の不足騒動に懲りてか、製薬会社も十分な対応をして今年度は充足されましたが、検査の試薬やいわゆる特効薬は不足しました。その要因として、製薬会社が上記の検査や薬の需要度を甘く見て十分な対応をしていなかったことや、患者さんやその保護者が医療機関側に上記の検査や薬を必要以上に要請し、医療機関側もそれに安易に対応していたことにあります。マスコミはもっと正確に情報を伝えるべきですし、医療機関側もマスコミに事前にきちんとした情報を提供すべきです。例えば、確かにある種類の解熱剤を使った患者さんのグループは、それを使わなかった患者さんのグループより脳症にかかった率は高いと言う成績はありますが、その理由も分かっていないことや、いわゆる特効薬は使った患者さんのグループは、それを使わなかった患者さんのグループより2日ほど早く解熱してより早く楽にはなりますが、肺炎や脳症にならない保証は一切ないこと等です。
 そのような状況の中、多くの患者さんや保護者はインフルエンザの亡霊にとりつかれて、インフルエンザの検査をし、陽性ならばいわゆる特効薬を服用しないと肺炎や脳症にかかってしまうのではないかとの錯覚を持ちました。
 尚、インフルエンザが恐れられている要因に、インフルエンザの流行する時期と入学試験の時期が同じ頃と言うこともあります。他の多くの国々のように、9月に入学と言う制度にならないものでしょうか。
 さて、4月14日にヒトゲノムの完全解読が宣言され、今後、症状や薬に対する反応の違いが遺伝子の違いで分かる時代がもうすぐ来ます。そのようになれば、ある意味でインフルエンザに於いても、亡霊にとりつかれることもなくなるでしょう。

 毎月原則3番目の土曜日の9時30分から12時30分まで、女医の大学の同級生で皮膚科専門医の木村淳子先生が皮膚科の診察をします。予約なしでも構いませんのでご利用下さい。