診療だより

2周年記念講演会

瀧田医院分院  10月発信


タキタデイプラザも9月で重要な節目の3年目を迎えた。
この機会に脳の研究の第一人者である久保田先生をお迎えして、脳に関係する講演をお願いした。
当施設は、子どもから老人まで、医療から福祉まで対象とし、種々の職種のスタッフがいるので、下記の演題名になった。

「脳の発達から老化まで−最近の脳研究の成果から、やさしく」

  久保田 競(きそう)先生
     日本福祉大学教授
     京都大学名誉教授(元京都大学霊長類研究所所長)
     著書『ランニングと脳』『0〜2才能力と意欲を伸ばす育児法』など

講演の概要

・ 脳は生まれた時から既に学習できる能力を持っているし、又、発達して行く。
・ 「脳の細胞は再生しない。」ということは、間違いであることが分かった。
・ 脳の何処がどう働くか、分かって来た。特に、記憶に関係する状況が分かって来た。
・ アルツハイマ−病や脳卒中の対策も少しずつ分かって来た。
  →頭や体を使うこと。

この講演後、スタッフより質問を募り、久保田先生より回答を頂きました。
その中から分院に関するものをピックアップしました。

 <Q>自閉症の子どもにドーパミンが効果があるという説があるが。
 <A>自閉症でも前頭葉の機能を高められると思うが、他の場所の機能も
    障害されているので、最初に使用する薬剤と思わない。

 <Q>脳の萎縮の際、使われない脳細胞も萎縮するか。
 <A>始めシナプスが減り、やがて死んで行きます。

 <Q>脳の一般的な機能が無い部分も、特殊な機能はあるか。
 <A>機能のない脳領域はないと考えられています。

 <Q>多発性脳梗塞や、脳梗塞を繰り返している患者は、そうでない患者と
    同じような運動機能の回復はあるか。
 <A>訓練すれば、回復します。

 <Q>前頭葉の障害による意欲低下は回復するか。
 <A>します。中脳皮質ドーパミン系を使うことです。

 <Q>痴呆が始まっている患者にも、運動して痴呆は改善するか。
 <A>します。

 <Q>麻痺側のリハビリは、一般的にどの程度しないと効果がないか。
 <A>中等度の麻痺で、1日2時間、1週間で効果があることが分かります。

 <Q>ダウン症の患児を体を動かせての効果は。
 <A>あります。